単語の意味を単純に足しても文全体の意味にならない?!<The Last Leaf 編>25

例文

After the doctor had gone Sue went into the workroom and cried a Japanese napkin to a pulp.

 引き続き『THE LAST LEAF』です。

単語の意味

workroom=仕事部屋(名)
a pulp=どろどろした状態(名)

構造

 この文は[ and ]の前後で2つの『構造』がありますので、2つ示します。

After the doctor had gone Sue went into the workroom and cried a Japanese napkin to a pulp.

 [ cried ]の主語は、[ Sue ]です。[ and ]を見落とさないようにする必要があります。

Sue went ~

Sue cried ~
をandでつなげて、
Sue went ~ and (Sue) cried ~

としています。

(Sue) cried a Japanese napkin to a pulp.

 この英文ではこの部分が難しいと思います。

(Sue) cried a Japanese napkin to a pulp.

 図式化すると、

cry + O + 前置詞句(to+名詞)

となります。
 直訳すると、

泣いた、日本製のナプキン、どろどろの状態へ

となります。
 この英文で言いたいことは、

スーは、泣いた、日本製のナプキン、どろどろ状態にした

ということだと思います。
 つまり、自然な日本語にすると、

スーは、日本製のナプキンがどろどろになるまで泣いた

という意味になります。

移動使役構文?

 しかし、この訳(スーは、日本製ナプキンがどろどろになるまで泣いた)は、[ cry ]という単語の意味からは出てきません。なぜなら、[ cry ]に、”~するまで泣いた”とか、”泣いて~にした”という意味はないからです。単語の意味を単純に足しただけでは、文全体の意味が出てこないのです。
 個人的には、この英文は、構文文法論にいう移動使役構文を用いていると理解することが良いのではないか?と思います。
 移動使役構文の例としては、

Frank sneezed the tissue off the table.
(フランクはくしゃみをしてナプキンをテーブルから吹き飛ばした)([著]A E. ゴールドバーグ[訳]川上誓作/早瀬尚子/谷口一美/堀田優子『構文文法論 英語構文への認知的アプローチ』(研究社・2001年)204頁)

があります。
 上の例文では、[ sneeze ]の直後に[ the tissue ]という名詞があるので、[ the tissue ]は[ sneeze ]の目的語のように見えます。しかし、[ sneeze ]は、”くしゃみをする”という自動詞の意味しかありません。どういうことなのでしょうか?
 まずは、上の例文の直訳を示します。

フランクは、くしゃみをした、そのティッシュ、テーブルから離れた。

が直訳です。
 それぞれの単語の意味を単純に足した直訳だと、”くしゃみをしてナプキンをテーブルから吹き飛ばした”という意味は出てきません。[ sneeze ]という単語には、”くしゃみをして~を吹き飛ばす”という意味はないからです。
 ここで、構文文法論は、移動使役構文なるものを考えるわけです。

構文文法論

 構文文法論では、

S + V + O + 前置詞句

という移動使役構文が、

SがOに働きかけて前置詞句で示される経路に沿ってOを移動させる

という意味を提供すると考えるのです(ここでは構文文法論の詳しい話は割愛させていただきます)。
 この移動使役構文が、

(Sue) cried a Japanese napkin to a pulp.

という文に使われていると考えると、

スーが泣くことで日本製のナプキンに働きかけてどろどろ状態へそのナプキンを移動させる
=スーは泣いて日本製ナプキンをどろどろ状態にした

という意味になります。
 もっとも、実際にナプキンが空間を移動しているわけではないので言葉本来の意味としての移動使役構文ではないと思います。
 しかし、乾いている状態のナプキンを涙でどろどろの状態に変えるということは、

乾いている状態→→どろどろ状態へ
       移動

と比喩的には言えるだろうと思います。つまり、状態の変化のことを状態の移動と比喩的に理解するのであれば、[ (Sue) cried a Japanese napkin to a pulp. ]にも移動使役構文が使われていると理解することができると思います。

和訳

 直訳調だと、

ドクターが去った後、スーは入っていった、仕事部屋へ、そして、(スー)は、泣いた、日本製ナプキン、どろどろに。

 自然な日本語だと、

ドクターが去った後、スーは仕事部屋へ入っていって、日本製ナプキンをどろどろにするまで泣いた。

となるかと思います。

---<The Last Leaf 編>25・終---

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