仮定法の公式と語順<緋色の研究 編>シャーロック ホームズ・9

例文

[I should have fallen into the hands of the murderous Ghazis had it not been for the devotion and courage shown by Murray, my orderly, who threw me across a packhorse, and succeeded in bringing me safely to the British lines.]

 本編、『緋色の研究』(シャーロック・ホームズ)です。

単語の意味

・fall into=~の手に落ちる(句動)
・murderous(ˈmɜːdərəs)=残忍な(形)
・Ghazi=ガジ(イスラム教の戦士(名))
・devotion(dɪˈvəʊʃən)=献身的愛情(名)
・courage(ˈkʌrɪʤ)=勇気(名)
・orderly(ˈɔːdəli)=当番兵(名)
・packhorse(ˈpækhɔːs)=荷馬(名)

構造

[I should have fallen into the hands of the murderous Ghazis had it not been for the devotion and courage shown by Murray, my orderly, who threw me across a packhorse, and succeeded in bringing me safely to the British lines.]
構造』は上のようになります。

 [I should have fallen into the hands of the murderous Ghazis]と

 [had it not been for the devotion and courage shown by Murray, my orderly, who threw me across a packhorse, and succeeded in bringing me safely to the British lines.]

で大きく2つに分かれ、しかも、仮定法(正確には仮定法過去完了)が用いられていることに要注意です。
 詳しくは少し後で検討します。

文型

 この文の文型は何でしょうか?
 [fall]の直後に[into]という前置詞が置かれていることから、この[fall]は自動詞であることが分かります。
 辞書にも、[fall]は自動詞とあります(Genius 5th)。
 ただ、オーストラリアの方言として“<木>を切り倒す”という他動詞があると表記されています(Genius 5th)が、ここではこの方言は考慮外としておきます。
 [fall]は自動詞ですから文型としては、[SV]の第一文型ということになります。

 ところが、ここで、[fall]は[into]と合わさって[fall into]となることで句動詞となっています。
 句動詞の直後に名詞の[the hands…]が置かれているので、この文は、
 「主語+句動詞+名詞」という並びになり、機能的には[SVO]と似た形になっています。
 つまり、[fall into]は他動詞と似た働き(機能)を果たしていることになります。
 ただ、[fall]は目的語を持たない自動詞ですから、句動詞としていかに他動詞と似た機能を果たしているとしても、やはり他動詞とは異なります。
 文としては、[SV]で終わる第一文型となると考えるべきだろうと思います。
 この部分はニュアンスの問題ですので、これ以上の検討は控えます。

文法事項

仮定法の公式

[I should have fallen into the hands of the murderous Ghazis had it not been for the devotion and courage shown by Murray, my orderly, who threw me across a packhorse, and succeeded in bringing me safely to the British lines.]

は、先ほども書きましたように、

[I should have fallen into the hands of the murderous Ghazis]と

[had it not been for the devotion and courage shown by Murray, my orderly, who threw me across a packhorse, and succeeded in bringing me safely to the British lines.]

で大きく2つに分かれます。
 しかも、仮定法(正確には仮定法過去完了)が用いられているのです。
 この文を通常の仮定法過去完了で書き直すと次のようになります。

[If it had not been for the devotion and courage shown by Murray, my orderly, who threw me across a packhorse, and succeeded in bringing me safely to the British lines, I should have fallen into the hands of the murderous Ghazis.]

となります。

 何故、仮定法過去完了だと分かるのでしょうか?これが分かるには、仮定法過去完了の次の基本公式をまずは押さえることが必要です。

[If … (had+pp)…, …(would, could, might, should, etc.)+(have+pp)….]
pp=過去分詞

というのが、仮定法過去完了の公式です。
 あと必要なのが、仮定法における[if]の省略です。
 仮定法では通常[if]が必要ですが、その[if]を省略する表現の仕方(公式)があります。それが、主語と動詞の倒置です。
1 仮定法過去完了の公式
2 [if]の省略による仮定法の公式
を合わせてこの文を書き直すと、

[Had it not been for the devotion and courage shown by Murray, my orderly, who threw me across a packhorse, and succeeded in bringing me safely to the British lines, I should have fallen into the hands of the murderous Ghazis.]

となります。
 しかし、今回取り上げた文は、そうはなっていません。もう一度省略形で記載します。

[I should have fallen into … had it not been for ….]

というのが今回取り上げた文です。前後が逆になっているのが分かるでしょうか?

[1Had it not been for …, 2I should have fallen into ….]

[2I should have fallen into …1had it not been for ….]

 要するに、
仮定法の基本公式は、
[if節+主節]の順序
なのですが、
 今回取り上げた文は、
[主節+if節]
となっているのです。
 この順序はほとんど見ません。
 どういう意味の違いがあるのでしょうか?

語順の違い

 これは、強調と考えてよいと思います。
 この直前の文で、「私が負傷したこと」が書かれていますので、その文に続けて、
“残忍なガジの手に落ちていたに違いない”
と直ぐに書くことで“どれほどの負傷であったか”を強調しようとしているのだと思います。

和訳

直訳

「私は、落ちていたに違いない、残忍なガジの手に、もし献身と勇気、マリー(私の当番兵で、私を荷馬に投げ飛ばし、成功した、私を安全にイギリス戦線に連れ帰ることに)によって示された、がなければ。」

もう少し自然な日本語

「私は、残忍なガジの手に落ちていたに違いない。もし、私を荷馬に投げ乗せて安全にイギリス戦線に連れ帰ることに成功したマリーの献身と勇気がなければ。」

今回のポイント

 今回のポイントは3点あります。
1、仮定法過去完了の公式
2、[if]の省略による仮定法の公式
3、[if節+主節]と[主節+if節]の語順の違い

---緋色の研究編–9–終---

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