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英米法の口頭証拠排除原則と日本の信義誠実条項

公開日: : 最終更新日:2015/02/06 口頭証拠排除, 英文契約書作成時の注意点 , , , , ,

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約2000字(読了≒3分20秒)

口頭証拠排除原則

口頭証拠排除原則とは?

英米法には、”parol evidence rule” という決まりがあります。
“parol” は「口頭の」
“evidence” は「証拠」
という意味です。
“parol evidence rule” とは、直訳すれば「口頭証拠原則」ということになります。

内容は?

しかし、”parol evidence rule” の意図は、口頭証拠を排除するという点にありますから、”parol evidence rule” とは、「口頭証拠排除原則」と訳されています。
これは、英米法における書面重視、つまり、口約束を排除することを表現した原則です。
具体的には、当事者が合意して定めた契約条件が最終的な完全なものとして当該契約書に記載されている場合、これと異なる合意内容を口頭の合意として立証することを排除する場合に”parol evidence rule” が妥当します。
以下の
アメリカの「統一商事法典」(引用元:Cornell University Law School)であるUniform Commercial Code(UCC)にその具体的条文があります。

§ 2-202. FINAL WRITTEN EXPRESSION: PAROL OR EXTRINSIC EVIDENCE.

Terms with respect to which the confirmatory memoranda of the parties agree or which are otherwise set forth in a writing intended by the parties as a final expression of their agreementwith respect to such terms as are included therein may not be contradicted by evidence of any prior agreement or of a contemporaneous oral agreement but may be explained or supplemented

(a) by course of dealing or usage of trade (Section 1-205) or by course of performance (Section 2-208); and
(b) by evidence of consistent additional terms unless the court finds the writing to have been intended also as a complete and exclusive statement of the terms of the agreement .

太字は私が修正しました。
ここで「口頭証拠排除原則」に限って見てみますと、
“当事者が最終表現だとしてこの契約書に書いた条項については、口頭合意の証拠をもってその最終表現の条項を否定することは出来ない”
と書かれています。

契約態度

この「口頭証拠排除原則」の下では、すべての契約条件・条項(terms)を網羅的に規定して、またあらゆる不測の事態を想定したその個別具体のケースにおける解決策・対処方法などを規定し、自分の権利を保護しようとする態度が生まれます。
この態度が英米の契約に対する特徴です。

信義誠実条項

信義誠実条項

これに対して、日本では「民法1条2項」の規定があります。

第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。
(1条2項の太字は私が修正したものです)

この規定は一般的には“信義則”と呼ばれます。
この“信義則”は必ずしも書面のみを重視しない規定で、口頭証拠による立証の余地を残します。
契約書には最小限の条項だけを規定しておき、細部事項に関してあえてオープンにすることで、日本人は契約後の事情の変化に対応した話し合いによる柔軟な対応を可能にすることを意図しているといえます。

信義則条項の規定例

本契約に定めのない事項については、その都度甲乙協議して定める。

などと規定されるのが通常です。
あくまでも、「協議」で決めることが基本になっているのが日本社会の特徴です。

まとめ

日本企業(人)が英米(欧米)と英語での契約(英文契約)をする際に気をつけるべきことの1つは、”parol evidence rule” (口頭証拠排除原則)です。
想定可能な不測事態の個別具体例についての考えをしっかりと持って英語での契約(英文契約)に望むことが不可欠となります。

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